本学会の概要,ご挨拶

日本シミュレーション医療教育学会の発足にあたり

学会長(理事長) 鈴木利哉

 平成25年7月1日付けで、旧日本M&S医学教育研究会と旧医療教育スキルスラボ研究会が発展的対等合併を行い、新しく「日本シミュレーション医療教育学会」として発足することになりました。そして平成25年7月6日に新潟大学医学部校内で記念すべき第1回大会が約130名の参加者のもとで賑々しく開催されました。
申すまでもなく、医学、歯学、薬学、看護学など医療系分野における教育では、臨床技能教育が最重要です。臨床技能教育には実際の患者さんを対象にしてトレーニングを行うのが有効でしょう。しかし、特にまだ免許を持たない学生が臨床技能トレーニングを受けるには制約があります。熟練者にとっても、全く新しい手技を行うには抵抗があるかもしれません。このような場合に、人体の構造と機能を再現したシミュレータやバーチャル教材でトレーニングを行うシミュレーション教育は有意義です。シミュレーション教育は、誰もが安全に教育を受けることができます。繰り返して行うこともでき、熟達度に応じてレベルを上げることも可能です。さらに到達度の評価を行うことも可能です。
しかしながら欧米におけるシミュレーション教育の普及状況に比較して、わが国では必ずしもシミュレーション教育が活発とは言えません。その理由には、施設、設備、人的資源、予算が十分でないこともあります。ただ、それ以上に指導教員に指導法が正しく理解されていない、多忙ゆえにシミュレーション教育の指導を行う時間が乏しいなどの理由も挙げられます。
そこで重要になるのが、シミュレーション教育技法の開発、確立、標準化、発信、普及等です。本学会は、これらの課題を解決すべく、多くの会員のご支援、ご協力をえて、わが国におけるシミュレーション教育の発展を目指したいと考えます。国際間交流、企業との共同開発等も活性化させたいと思っています。
多くの医療教育関係者のご理解を賜り、本学会を発展させていきたいと存じます。ご支援、ご協力を切にお願い申し上げます。
最後になりましたが、本学会の設立に多大なる貢献をいただいた諸先生方に心から御礼を申し上げます。